20240323
最高裁あて「要請書」への賛同連名のお願い 2024年3月
あの原発事故を防ぐことはできた! 東電だけでなく国にも責任があったことをご存じですか?
過去をうやむやにする国に未来はありません 被害者と次世代のために、いまこそ声をあげましょう
ノーモア原発公害市民連絡会 https://www.genpatsu-kogai.net
代表世話人 金平茂紀(ジャーナリスト) 関礼子(立教大学教授)
寺西俊一(一橋大学名誉教授) 中野直樹(弁護士)
元日に能登半島で巨大地震が起き、大きな被害が出ました。とっさに「志賀原発は大丈夫か」と不安になった方もいらっしゃるでしょう。国内には稼働中の原発もあり、いつ再び、福島第一原発事故のような惨事が起きても不思議ではありません。それなのに国が原発政策を推し進めている背景には、ある最高裁判決が絡んでいます。ポイントは次の4つです。
① 国は3・11のずっと前から巨大津波が来る可能性を知っていた
② 国は東電に対して「万が一にも」重大な事故が起きないように指導・命令する法的な責任があるのに何も せず、原発事故を引き起こしてしまった
③ ところが最高裁は2022年6月17日、国の責任を問わない判決を下した(6・17判決)
④ それこそが原発推進を勢いづかせた元凶。各地の高裁では「6・17コピペ判決」が相次ぎ、国の責任が問われないままとなる恐れがある
この最高裁判決をただすため、私たちは昨秋、最高裁を相手とする市民連を立ちあげました。
趣旨にご賛同いただける方は、以下のアドレスから入力をお願いします。
個人用 https://forms.gle/BQCmvrhC1WetxSfB9
団体用 https://forms.gle/92j7feT2hxGehY6d6
※なぜ最高裁あて「要請書」への賛同をお願いするのか
最高裁。それはふだん、みなさまにとって遠い存在かもしれません。ただ、最高裁で下される判決は私たちの生活に直接の影響を与えることもあり、国のあり方を変えることさえあります。なかでも国策である原発をめぐる裁判は、日本の将来を左右しかねないものです。
福島での原発事故後、被害者の多くは東京電力だけでなく、国の責任も追及しています。なぜなら、取り返しのつかない被害をもたらす恐れのある原発については特別の法律があり、国に対しては安全確保に関する規制権限を定めています。それにもかかわらず国は、大震災の9年前から巨大津波の可能性を国の機関から知らされていたのに東電に対して何もしませんでした。あれは防げるはずの事故だったのです。実際、各地の地裁・高裁では、国の責任を認める判決がいくつも言い渡されています。
ところが、最高裁は2022年6月17日、国の責任を認めた3件の高裁判決をくつがえしました。たとえ国が規制権限を行使しても事故は防げなかった可能性があるとの理屈です。奇妙なことに、国の責任を考えるうえで当然検討すべき点は「スルー」しています。事故は予測できたのか、できたとすれば、どのような対策をとるように東電に命ずべきだったのか……といった重要な点を無視したのです。
この欠陥だらけの判決は、原発推進政策に「お墨付き」を与えました。岸田政権は「脱炭素社会への移行」の美名のもと、原発再稼働や老朽原発の延命に大きく舵を切りました。ALPS処理汚染水の海洋放出も強行しました。これらは6・17判決を受けた流れです。
悪影響はそれだけではありません。6・17後、最高裁の判決理由を「コピペ」したような判決が高裁で相次いでいます。これは次のような重大な問題をはらんでいます。
原発訴訟には損害賠償請求のほかに、運転差止を求める訴訟もあります。「原発は危険すぎる」と感じる市民にとって、裁判所は「最後の砦」です。しかし、もし最高裁が「原発事故に国の責任はない」とする判決をかたくなに守るなら、運転差止訴訟にとっても大きな障害となります。過去より将来のことを判断することがより難しいからです。過去のことを振り返って責任をとらせるべきかどうか判断しようとしない者に、将来起こるかもしれない出来事について責任をもって判断することはできません。
元日の能登半島地震はあらためて、この国が地震大国であることを見せつけました。原発はその上に立つガラス細工のような危うい施設です。二度と原発事故を繰り返さないためには、6・17判決に代わる、正しい判決が欠かせません。みなさまのご理解とご協力を頂ければ幸いです。
(最高裁への要請書、PDF版は下記からダウンロード出来ます)
(最高裁への要請書、テキスト版を下段に記しました)
最高裁判所 御中 要 請 書
令和 6 年(2024 年)3 月
ノーモア原発公害市民連絡会(HP:https://www.genpatsu-kogai.net)
代表世話人: 金平茂紀(ジャーナリスト)、関礼子(立教大学教授)
寺西俊一(一橋大学名誉教授)、中野直樹(弁護士)
【第1 最高裁への要請】
上告申立がされている福島第一原発事故国賠訴訟について、上告を受理してください。そして、国の責任を否定した第二小法廷の令和 4 年 6 月 17 日判決(以下「6.17 判決」)を是正してください。
福島原発事故は、広範な地域の住民の健康・生命に危険を及ぼし、国土・海洋を汚染し地域社会を崩壊させてしまいました。私たちは、現在も放射性物質の拡散と健康被害の恐怖にさらされ続けています。本年 1 月 1 日、能登半島地震が発生し、志賀原発の敷地を震度5強の地震が襲い、原子炉を冷やすための電源設備等に重大な機能障害が発生しました。幸いにも今回、志賀原発は重大事故を免れましたが、稼働中だったらと思うと恐ろしくなりました。
【第2 要請の理由】
1 裁判所に求められている役割と責任
2011(平成 23)年 3 月 11 日に発生した福島第一原発事故は、わが国始まって以来の甚大で深刻な被害をもたらし、その日に発令された「原子力緊急事態宣言」は今なお解除されていません。そのような状況下でなされる司法判断として、ぜひとも、原発の危険性の本質を踏まえた判断をしていただきたいと思います。そのために次のことを必ず考えてください。
原子力発電所に内在する危険性
原発では「止める」「冷やす」「閉じ込める」という安全3原則が守られなければなりません。たとえ、原子炉が緊急停止しても崩壊熱が発生し続けるために電気と水で原子炉を冷やし続けなければなりません。この冷やすことに失敗すると放射性物質を閉じ込めることができなくなります。この事故が起きるまで、私たちは、「日本の原発は絶対安全だ」と言う電力会社やそれを前提に国策として原発を進めてきた国が間違いなく原発を管理してくれるものと信じていました。だから、止めるだけでは足りず、まさか停電しただけで過酷事故になるとは思ってもいませんでした。しかし、電力会社や電力会社を指導する立場にある人々はそのことを知っていたはずで、外部電源は地震に弱く、非常用電源は津波に弱いことも分かっていたはずです。
原子力発電所に内在する危険性についての法規制
原発以外の多くの技術が運転を止めることによって、安全な方向に収束していくのに対し、原発は運転を止めるだけでは収束の方向に向かわず、冷やす、閉じ込めることを継続しないと破滅的な事故に至ることは、令和3年3月18日の水戸地裁判決も指摘しています。
この原発特有の危険性があるからこそ、原子炉の安全規制については、原子力基本法、原子炉規制法等により、監督機関である保安院や経済産業大臣に特別かつ強力な規制権限が与えられているのだと思います。
伊方原発訴訟に関する最高裁判決も、原発に関する法規制は万が一にも重大な事故を起こさないようにするためのものであることを示しています。そして、そのように高い安全性を確保するためには、最新の科学的・専門技術的知見を踏まえること、不断に進歩・発展する科学技術水準へ即応することが要求されると明示しています。
最新の科学的知見である「長期評価」とそれを無視した東電と国
2002 年、国の機関である地震調査研究推進本部が「長期評価」を公表しました。その「長期評価」は「三陸沖北部から房総沖の海溝寄り」で巨大津波地震が起きることを予測したものです。「長期評価」に基づく津波試算によると、福島第一原発の1階ないし地下にある非常用電源は津波により機能喪失することが客観的に明白だったのです。しかし、東電は対策を先延ばしし、監督権限をもつ国もそのことを放置したのです。
2 6、17 判決が法の解釈を怠ったことと判決の理由付けに説得力がないこと
原子力発電所が電源を失っただけで暴走し、とてつもない被害をもたらすということを十分に踏まえると、その内在的な危険性が万が一にも現実のものとならないように、電力会社やそれを指導する立場にある人々は最新の科学技術水準を用いて、何が何でも非常用電源を津波から防がなければならないということになるはずです。その最新の科学技術水準の中にどうして高裁で認められた「水密化の手法」が含まれないのか私たちには全く理解できないのです。
また、6.17 判決は、原発に関する法令が保安院や経済産業大臣に特別の規制権限を与えている趣旨について解釈を示していません。電力会社やそれを指導すべき立場の人々がいわば通り一遍の事故防止義務を負うのか、それとも万が一の事故も許さないという高度の事故防止義務を負うのかは法令の解釈をしないと導けないはずです。その法令解釈という一番大事な裁判官の仕事、裁判官でなければできない仕事を放棄してしまっているのが6.17 判決だと思います。このことは三浦守裁判官の反対意見も厳しく指摘しています。
6.17 判決は、基本的な法令の解釈を怠った上に、伊方原発訴訟最高裁判決が示した道理も、最大の争点である「長期評価」に基づく津波対策の必要性についても無視しています。
最高裁は法の支配の最終的な担い手です。6.17 判決にはそのような自覚や誇りがあるのでしょうか。司法を支える国民の信頼を回復するためには、最高裁判所が自ら裁判官の良心に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律に則って、6.17 判決を是正することが必要だと思います。
私たちの運動は始まったばかりです。みなさまには次のようなご協力をいただければ幸いです。
◆サポーターや賛助団体になる
長い闘いを続けるには多額の資金が必要です。個人の方はサポーターになって、活動を支えて頂けないでしょうか。賛助団体も募っています。サポーターのご登録は、下記の「フォーム」から入力・送信をお願いします。
https://forms.gle/Wu8HuuyCA6ndX1189
「賛助団体」のご登録は、下記の「フォーム」から入力・送信をお願いします。
https://forms.gle/n7xZawh19nHbNNZ26
◆「活動支援金」や「賛助金」で支援する
個人サポーターは1口1000円のご寄付を、賛助団体には1口5000円賛助金をお願いいたします。(いずれも複数口歓迎!)
金融機関名:みずほ銀行
支店名:本郷支店(店番号075)
口座番号:4222638
口座名義:ノーモア原発公害市民連絡会
◆最高裁に渡す要請書(仮)へのご賛同
原発事故の国の責任を認めなかった「6・17最高裁判決」をただすよう、市民連としての「要請書」を最高裁に提出する予定です。詳しくは春ごろをめどにホームページなどでお知らせしますが、みなさまには「賛同連名」をお願いしたいと思っています。同時にネット署名もおこないますので、よろしくお願いいたします。
Produced by:ノーモア原発公害市民連絡会 事務局
問合先:ノーモア原発公害市民連絡会 事務局
メール:nmnd.shiminren☆gmail.com(☆マークを@に変えてください)