20241007
原発RABモデル・経済産業省事務局説明資料 2024/8/20
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/040_01_00.pdf
20241007
【Change.org呼びかけ】
・原発の建設費は急上昇。今や1基数兆円にのぼる例もあり、建設期間も長期化。発電コストは再エネよりはるかに高い。
・政府は原発の建設費用を、稼働・発電前から電気代に上乗せできる新制度(RABモデル)を入れようとしている。
・今でも、原発や火力発電には電気代だけでなく、多額の公的資金が投入されている。それでも足りないと発電事業者や投資家が要求。
・発電事業者や投資家の利益を安定化させて原発新設を進めるために、電気代の上昇などコストやリスクが国民負担となる。結果的に温暖化対策も邪魔して遅らせる。このような制度はいらない。
【署名呼びかけ人】(50音順)
・浅岡美恵(気候ネットワーク代表)
・明日香壽川(東北大学東北アジア研究センター・環境科学研究科教授)(発起人)
・飯田哲也(環境エネルギー政策研究所代表)
・大石光伸(東海第2原発運転差止訴訟原告団共同代表)
・大島堅一(龍谷大学政策学部教授、原子力市民委員会座長)
・鈴木達治郎(長崎大学核兵器廃絶研究センター教授)
・竹村英明(市民電力連絡会理事長)
・松久保肇(原子力資料情報室事務局長)
・満田夏花(FoE Japan事務局長)
【署名呼びかけ団体】(50音順)
・350.org Japan
・FoE Japan
・Fridays For Future Tokyo
・環境エネルギー政策研究所
・気候ネットワーク
・グリーンコープ共同体
・グリーンピース・ジャパン
・原子力市民委員会
・原子力資料情報室
・市民電力連絡会
・生活クラブエネルギー事業連合
・日本環境会議
・日本消費者連盟
・ワタシのミライ
20240909 6.17判決前後の関係図(概要)を下記に図示します。
これらを含めて8月1日に行われた「最高裁裁判官に対する弾劾訴追」に関する記者会見時の資料を図の下にPDF版でアップしました。
20240708
後藤秀典さん図書及び記事のご案内
図書:「東京電力の変節」:旬報社刊
目次
序章 被災者攻撃の裏側
取り戻しのつかない被害/被災者を否定し、攻撃する東京電力
第一章 東京電力の変節と原発事故被害者
▼被災者を攻撃しはじめた東京電力
〝テレビがお友達〟の優雅な生活?/〝避難〟ではなく〝個人的な移住〟?/裁判で再び傷つけられる避難者たち/さいたま地方裁判所の判断/〝払い過ぎ〟と〝損害の否定〟
▼ADRでの和解拒否
浪江町の集団申立て/全町民を救済する―ADR和解案/心の痛みの値段は―東電の拒絶/住民の声が届かない/一人のみの和解、ADR打ち切り/東京電力の「和解拒否」が与えた影響/個別の和解仲介にも広がる東京電力の和解拒否/「安全神話」のもと限界と制約を埋め込まれたシステム
▼賠償責任とビジネスの狭間
賠償の表と裏/「パフォーマンスにすぎない」/「責任と競争」の両立/政府・財界・東京電力の戦略/原発事故後の経営難を打開するために原発を再稼働?/暗礁に乗り上げた成長戦略
▼取り残される避難者
「もう富岡に帰りたい」/娘の夢をかなえたい/「私にとっては過去じゃないんです」/避難者の三七%がPTSDの可能性/明らかになったPTSDの三大要因/避難者のPTSDと東京電力
第二章 〝国に責任はない…〟最高裁判決は誰が書いたのか
▼避難者の願いを裏切る最高裁
最高裁判決の問題点/避難者の願いを理解できない最高裁/最高裁判決は誰が書いたのか?/三浦意見に隠された痛烈な批判
▼最高裁、国、東京電力を結ぶ巨大法律事務所人脈
最高裁判事とはどんな人たちがどう選ばれるのか?/最高裁判事の意外な系譜/元最高裁判事の意見書/最高裁判事が経営していた事務所の弁護士が東電社外取締役に/原子力規制庁の元職員が東電の代理人に/東電会長につながる産業再生機構人脈/枚挙にいとまない国、最高裁、東電、原発企業の結びつき/裁判所、国、企業を結び付ける巨大法律事務所
第三章 原発回帰へ舵を切る日本
▼経営難の東電は被災者とどう向き合うのか
「レジスタンス判決」/遅すぎた追加賠償/迷走する東電の裁判戦術/厳しさを増す東京電力の経営状況/「原発回帰」への大転換
▼普遍的な社会保障の構築と、被害者の苦難に向き合う社会へ
避難者が幸せを取り戻すために/〝どっこい生きてる〟被害者たち
あとがき
・・・・・・・刊 行 中・・・・・・
「月刊誌 地平」(下記リンクより購入出来ます)
後藤秀典 司法崩壊 第2回 巨大法律事務所の膨張
https://chihei.net/2024/06/28/chihei8/
後藤秀典 ルポ・司法崩壊 第1回 原発訴訟にみる最高裁の堕落
https://chihei.net/2024/05/30/chihei7/
雑誌概要 創刊日:2024年6月5日(水)*暦では芒種(種をまく日)
編集長:熊谷伸一郎
刊行スケジュール:毎月5日発売
発売場所:全国書店およびオンライン書店
判型体裁:A5版・224頁~256頁
創刊号特別定価:900円+税
20240619
6.17最高裁ヒューマンチェーンの様子です
20240506
6月17日に予定されている最高裁要請アクションと院内集会の案内です。(PDF版は下記よりダウンロード出来ます)
20240506
6月16日に予定されている映画観賞会(午前)とシンポジウムの案内です。(PDF版は下記よりダウンロード出来ます)
20240424
能登半島地震で問題となった原発の避難計画に関するNHKのレポートです。
全国の原発避難計画 調べてみえた地域差とは NHK2024年4月22日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240422/k10014419091000.html
20240416
いわき市民訴訟、最高裁上告棄却決定に関する資料です。(下記)(上段JPGが決定書)
20240416
参考条文:民事訴訟法
(上告の理由)
第312条
1 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第34条第2項(第59条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第6条第1項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)
四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。
(上告受理の申立て)
第318条
1 上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
2 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第312条第1項及び第2項に規定する事由を理由とすることができない。
3 第1項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
4 第1項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第320条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
5 第313条から第315条まで【第313条、第314条、第315条】及び第316条第1項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
20240325
2月14日に判決言渡しがありました山木屋訴訟では補償枠組み(中間指針とその後の第5次追補)を超える補償をすべきという判断がなされました。弁護団より、判決要旨と判決を受けた弁護団声明が届きました。下記よりダウンロードしてご覧ください。
20240323
3月20日に開催された「さよなら原発全国集会」に参加しました。
会場の様子を下記の写真などでご案内いたします。
20240312
「311ふくしま集会」の様子を写真でご紹介いたします。
※ライブ配信動画は編集中です。公開までしばらくお待ちください。
20240228
「ノーモア原発公害 最高裁判決と国の責任を問う」が近日中に発刊されます。発行元の旬報社サイトに発刊のお知らせが掲載されました。以下、転載致します。
福島原発事故は、単なる自然災害ではなく、政府の規制権限不行使や電力会社の対策不備が引き起こした人災であり、公害事件である。
原発事故に対する国の責任を否定した6.17最高裁判決は、本来論ずるべき点を「スルー」した「杜撰」で「政治的」なものであった。それがお墨付きとなり、現在の原発回帰政策の進展へとつながっている。
国の取るべき責任、判決の問題点、司法の役割、原発回帰政策などを問い直す。
〈主な目次〉
序 章 六・一七最高裁判決の問題点………………………………吉村良一
第1章 原発規制権限と福島原発事故に対する国の責任…………下山憲治
第2章 六・一七最高裁判決多数意見と三浦反対意見の違い……樋口英明
第3章 最高裁判決の訴訟法上の問題点……………………………長島光一
第4章 被害者への損害賠償をめぐる到達点………………………若林三奈
第5章 福島原発事故による「ふるさと」被害……………………関 礼子
第6章 福島復興政策の問題点と国の責任…………………………除本理史
第7章 原子力安全規制と司法の役割………………………………長谷川公一
第8章 最高裁判決と「原発回帰」政策……………………………大島堅一
第9章 「原発ムラ」と裁判…………………………………………後藤秀典
コラム 「ALPS処理水」海洋放出と福島第一原発事故の発生者(加害者)責任…菅波完
終 章 「ノーモア原発公害!」をめざす市民連の取り組み……寺西俊一
はしがき
最高裁の2022(令和4)年6月17日判決は、東日本大震災を契機に発生した東京電力福島第一原発事故に関し、国には責任はないとしました(責任を認めるべきだとする反対意見があるので、責任がないとした裁判官3名にたいし責任があるとした裁判官1名の多数決による結論)。この判決は、国の原発政策に過度に配慮した結論ありきのものです。そして、本書の各章が分析しているように、事故発生が予測できたのか、できたとすれば、どのような対策をとるように東京電力に命ずべきであったのか、そもそも、原発の安全性確保のための原子力安全行政のあり方はどうあるべきであったのかといった、本来、判断を示すべき点についての検討を「スルー」してしまっています。また、水俣病訴訟やアスベスト訴訟などにおいて示されてきたこれまでの最高裁の判例とも相いれないものです。
この判決後、それまで、高等裁判所や地方裁判所において、国の責任を認める判決が多数言い渡されてきたにもかかわらず、最高裁多数意見の判決理由を、あたかも「コピペ」したような理由付けで国の責任を否定する判決が相次いでいます。さらに重大なことは、この最高裁判決が、過去の原発政策における国の責任を免罪するだけではなく、今後の原発推進政策に「お墨付き」を与えるものとなっていることです。現に、岸田政権は、2023年五月に、「グリーントランスフォーメーション(GX)」(「脱炭素社会」への移行)の名の下に、国を挙げた原発救済&再推進の関連法を制定し、同時に、原発の再稼働、老朽化した原発の延命等の政策を推進しています。岸田首相は、原子力を「GXを進める上で不可欠な脱炭素エネルギー」であると述べています。また、福島第一原発の敷地に保管されている汚染水(いわゆる「ALPS処理水」)の海洋放出も、2023年8月に開始されました。
2024年元旦に、能登地方で地震が発生し、大きな被害を出しています。周知のように、能登半島の志賀町には北陸電力の志賀原発があります。また、能登半島先端の珠洲市にも原発を設置する計画がありました。幸い、志賀原発は停止中であり、様々な不具合が発生したものの、福島のような大事故は免れました。また、珠洲市の原発計画は中止されていました。この地震では、数メートルの地盤の隆起などが発生していますが、もし、原発の敷地でこのような現象が生じた場合、原発施設にそれに耐える安全性はありません。また、地元の住民の避難が困難を極めるであろうことも明白になりました。
福島第一原発で2011年に発生したような重大かつ深刻な事故は2度と繰り返してはなりません(「ノーモア原発公害」。福島で生じた事態は、広範囲にわたる放射性物質汚染であり、新しいタイプの「公害」です)。あらためて、原発の安全性や原発推進政策を見直さなければなりません。そして、そのためには、6月17日の最高裁判決の克服が不可欠なのです。
本書は、この問題に関心を有する専門家が、6月17日最高裁判決の問題性や、その克服の必要性、さらには今後の原発政策のあり方について、それぞれの立場から論じたものです。この問題に関心を持つ一般読者にも分かりやすい記述に留意するとともに、各章の末尾に、読者の皆さんがより深くこの問題を考えるための参考文献をあげました。この問題に関心のある方に本書が広く読まれ、福島原発事故のような重大な事故を起こさないためには何が必要かを考えていただければ幸いです。
出版年月日/2024/03/18 定価/1,870円(税込)
https://www.junposha.com/book/b643456.html
20240228
原発事故から13年目を迎えて開催される「3.11ふくしま集会」です。
今年の3・11原発いらない福島集会には、
一昨年の6・17最高裁判決(
このパネルディスカッションをコーディネートされるのは、『
東北電力の年内再稼働宣言で決戦局面を迎える女川原発再稼働差し
平日の日中の開催ですので大変だとは思いますが、是非、
20240219
いわき市民訴訟原告団が作成した「最高裁6.17判決っておかしくないですか」のリーフが届きましたので、ご紹介いたします。下記よりダウンロードしてご自由にお使い下さい。
20240219
2月10日に開催された「原発事故は国の責任です ~私たちは被害者切り捨てと分断を許さない~」での、当会(ノーモア原発公害市民連絡会)代表世話人・関礼子からのご挨拶です。
1.「ノーモア」の誓い
原爆死没者慰霊碑、「安らかに眠って下さい。過ちは繰返しませぬから」
厚生労働省敷地内にある薬害根絶誓いの碑、「命の尊さを心に刻み サリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう」
水俣病慰霊の碑、「不知火の海に在るすべての御霊よ 二度とこの悲劇は繰返しません 安らかにお眠りください」
新潟水俣病の歴史と教訓を伝える碑の解説文、「このような悲惨な公害を繰り返してはならない」
福島原発事故は、繰り返してはならない出来事を、またひとつ増やしました。
・・・・・・・・・・・・続きは下記よりダウンロードしてご覧ください・・・・・・・・・・・・
20240216
2月10日に開催された「原発事故は国の責任です ~私たちは被害者切り捨てと分断を許さない~」での、吉村良一さんの講演レジメが届きました。下記の欄よりPDF版をダウンロード出来ます。
尚、レジメで紹介されている図書は下記となります。
【参考文献】
「特集 福島原発事故における国の責任―3.10仙台高裁判決と6.17最高裁判決の問題点」環境と公害53巻2号(2023年)
https://www.iwanami.co.jp/book/b636894.html
後藤秀典『東京電力の変節―最高裁・司法エリートとの癒着と原発被災者攻撃』旬報社(2023年)
https://www.junposha.com/book/b632266.html
吉村・関・寺西編著『ノーモア原発公害—最高裁判決と国の責任を問う』旬報社(2024年3月刊予定)
20240213
3月10日に開催された「原発事故は国の責任です ~私たちは被害者切り捨てと分断を許さない~」について下記報道がありました。当日の動画も下記のYouTubeでご覧いただけます。20240210
2023年12月26日に判決言い渡しがありました、原発避難者東京訴訟控訴審判決(要旨)は下記よりダウンロードしてご覧いただけます。
20240210
2023年3月10日に判決言い渡しがありましたいわき市民訴訟控訴審の判決要旨(一部)は下記よりダウンロードしてご覧いただけます。
20240122
参考図書をご紹介いたします。
◆関礼子・原口弥生編『福島原発事故は人びとに何をもたらしたのか』(2023年新泉社)
https://www.shinsensha.com/books/5758/
◆関礼子編『福島からの手紙 十二年後の原発災害』(2023年新泉社)
https://www.shinsensha.com/books/5730/
◆後藤秀典『東京電力の変節 最高裁・司法エリートとの癒着と原発被災者攻撃』(2023年旬報社)
https://www.junposha.com/book/b632266.html
◆樋口英明『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』(2023年旬報社)
https://www.junposha.com/book/b630109.html
◆樋口英明『私が原発を止めた理由』(2021年旬報社)
https://www.junposha.com/book/b561325.html
◆磯村健太郎・山口栄二『原発に挑んだ裁判官』(2019年朝日新聞出版)
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028
◆吉村良一・関礼子・寺西俊一編『原発公害と国の責任』(仮題、2023年春に予定、旬報社)
20240122
下記が2022年6月17日に言い渡された最高裁の判決文と4訴訟団の声明です。
◆6.17最高裁判決:裁判所サイトでの判決解説ページは下記となります
2022年6月17日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、福島第一原発事故の被害者が提起した生業訴訟、群馬訴訟、千葉訴訟、愛媛訴訟の4訴訟において、国が規制権限を行使しなかったことについて、国の責任を認めないとの判決を言い渡しました。裁判官全員一致の判決ではなく、3対1と意見が分かれた判決でした。
1 多数意見の内容
多数意見は、仮に、経産大臣が、「長期評価」の想定に基づいて対策をとらせたとしても、東京電力が講じる対策は、敷地南東側に限定した防潮堤の設置に限られたとし、実際の地震・津波が想定地震・津波と規模が異なり、防潮堤が設置されていない湾内東側からの遡上もありうることから敷地への浸水を防げず、事故を回避できなかったとして、因果関係が認められないと結論づけています。
2 争点に対する判断を避けており、司法の役割を果たしていない
事故の被害救済を求める訴訟は、地裁や高裁で判決が積み重ねられ、そのいずれも、「長期評価」が信頼できるか否か、事故前に予見しえたか否かが争点とされ、すべての判決で、争点に対する判断が示されてきました。
そして、こうした判断の前提として、原子力安全規制法令の趣旨・目的(何のために経産大臣に規制権限を与えているのか)をふまえ、原発に求められる安全性の程度はどの程度であるべきか(伊方原発最高裁判決の「万が一にも」という判示の趣旨のとらえかた)、予測が困難な自然現象について安全規制の基礎に据えるべき知見の信頼性はどの程度であるべきか(伊方原発最高裁判決の「最新の科学技術水準への即応」の趣旨のとらえかた)、さらに重大事故に至る想定が得られた場合に回避するための防護措置に求められる確実性はどの程度であるべきかなどについても判断が示されてきました。
しかし、多数意見は、原子力安全規制法令の趣旨・目的について判断せず、「長期評価」の信頼性の評価も回避し、原発についての安全規制のありかた、事故に至る東京電力と保安院の対応についても判断していません。むしろ、事故前の国の運用を何ら検証せず、そのまま所与のものとし、その運用から想定される対策を仮定し、その対策では事故は回避できないと仮定し、結果は変わらないから責任なしとするもので、責任を否定する方向で仮定に仮定を重ねています。事故前の国の運用が、原子力安全規制法令の趣旨・目的に照らして適切だったのかという点にも何らの検討を加えず、無条件に前提としてしまっています。
このような考え方が許されれば、運用に対するチェックはなされず、被害を防ぐことができなくても、責任は免れるという話になってしまいます。これではあれだけの被害を生み出した事故から何の教訓も得られません。
多数意見は、各地の裁判の営為に対する敬意をまったく払っておらず、なにより原告の求めたものに真正面から向き合うことをしない、まさに肩透かし判決で、司法に期待される役割を放棄したものというほかありません。
3 ご都合主義な想定に基づき因果関係を否定したことの誤り
多数意見の実質的な判断部分は約4頁しかなく、文量として薄いですが、内容としても、建屋などの水密化を否定し、防潮堤の設置範囲も津波シミュレーションによって想定津波が遡上する部位(敷地高さを超えると試算されたもの)に限定されるとするもので、重大事故が想定される場合の防護として、多重防護という発想が求められ、推計の誤差を考慮して安全上の余裕を確保するという発想が求められることからも、不当なものとなっています。
また、多数意見は、東側湾内について、「長期評価」に基づいて海抜9.24mの津波が想定され0.7m
の余裕しかないにもかかわらず、防潮堤の設置は求められないと判断しました。しかし、この判断は、津波シミュレーションにも誤差があり得ること、安全上の余裕を確保するという考え方に照らしても、非常識なものです。なにより、重大事故に至る危険のある想定津波に対し0.7mの余裕しか確保しない状態で原発を稼働させることについて、福島県など地元自治体が同意をするとは到底考えられず、多数意見は机上の空論でしかありません。
4 三浦反対意見の正当性
本判決には、三浦守裁判官の反対意見が付されています。三浦反対意見は、原子力安全規制法令の趣旨・目的を明らかにし、「長期評価」の信頼性を認め、東側にも防潮堤が設置されるべきこと、防潮堤の設置に合わせて建屋の水密化の対策が求められ、これにより事故を避けられたとしています。
また、三浦反対意見は、「生存を基礎とする人格権は、憲法が保障する最も重要な価値であり、これに対し重大な被害を広く及ぼし得る事業活動を行う者が、極めて高度の安全性を確保する義務を負うとともに、国が、その義務の適切な履行を確保するため必要な規制を行うことは当然である。原子炉施設等が津波により損傷を受けるおそれがある場合において、電気供給事業に係る経済的利益や電気を受給する者の一般的な利益等の事情を理由として、必要な措置を講じないことが正当化されるものではない」とし、生命・身体の保護と企業の経済活動の利益を天秤にかけるような考え方を明確に否定しました。
保安院の対応についても検討し、東京電力の説明に対し、「保安院は、自らこの点を十分に確認して検討しないまま、その説明をほぼ鵜呑みにした」、「本件長期評価の公表後のいずれかの時点において、本件技術基準の要件該当性等について具体的な検討を行って、その判断をしたことはうかがわれない。これは、法が定める規制権限の行使を担うべき機関が事実上存在していなかったというに等しい」として、その対応を厳しく批判しています。
三浦反対意見は、下級審で判断されたすべての論点について、原告からの提起を正面から受けとめたもので、「第二判決」と評されるものです。実際の地震・津波の規模を強調して因果関係を否定する多数意見に対しも、「『想定外』という言葉によって、全ての想定がなかったことになるものではない。本件長期評価を前提とする事態に即応し、保安院及び東京電力が法令に従って真摯な検討を行っていれば、適切な対応をとることができ、それによって本件事故を回避できた可能性が高い。本件地震や本件津波の規模等にとらわれて、問題を見失ってはならない」と厳しく批判しています。
ここからは、原子力安全規制のありかたについて裁判所としての判断を正面から示し、事故の教訓を判決という形で残そうという決意とともに、後続の裁判官に対して、「原子力安全規制法令の趣旨・目的をふまえ、事件に正面から向き合え」という強いメッセージが感じられます。
5 多数意見を乗り越えよう
原告は、訴訟を通じ、国と東京電力の法的責任を明らかにすることを一貫して重視してきました。責任を明らかにすることで、初めて被害実態に即した救済が実現すること、事故の教訓を明らかにすることで二度と原発事故による被害を起こさないことが展望できると考えたからです。
今回、3対1の判決となりましたが、1を得られたことは貴重な成果です。この1を多数意見にすることが当面の課題となります。その際、強調しておきたいのは、多数意見も、国の主張を認めて、国に責任がないと判断したわけではないということです。
私たちは、初心を思い起こし、後続訴訟において、三浦反対意見が示した判断が、多数意見となることを目指し、かつ、原発被害者訴訟原告団全国連絡会が先に取りまとめた「原発事故被害者の救済に関する共同要求」の実現に向け、すべての被害者、原発被害の根絶を願うすべての国民と連帯し、今後も闘い続けます。
2022年6月28日
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・弁護団
原子力損害賠償群馬訴訟原告・弁護団
福島第一原発事故損害賠償千葉訴訟原告団・弁護団
福島第一原発事故・損害賠償愛媛訴訟原告団・弁護団
20240122 ノーモア原発公害市民連絡会、発足までの資料は下記となります。
「ノーモア原発公害市民連絡会」発足式・記者会見・発足記念シンポジウム(案内・テキスト版)
■日時:2023年11月17日(金)(※時間は下記プログラムを参照)
■会場:衆議院第一議員会館 国際会議室
■主催:ノーモア原発公害市民連絡会
■プログラム 11:00〜 発足式・記者会見
13:30〜 発足記念シンポジウム
第1部 特別記念講演「原発事故と国の責任-6・17最高裁判決をどうただすか」 樋口英明さん(元福井地裁裁判官)
第2部 「原発公害」の現実-被害者からの訴え!
第3部 「原発ゼロ」か「原発回帰」か-ドイツと日本の対比から
ドイツから:ミランダ・シュラーズさん(ドイツ原発倫理委員会メンバー)
日本から:長谷川公一さん(東北大学名誉教授)
▶︎当日会場の定員数が約100名程度となっているため、会場参加は「事前申込」となっています。参加をご希望の皆さまには、こちらの会場参加申し込みフォームから、早めの申込みをお願いいたします。(会場定員に達した場合は、オンラインでのご視聴をお願いする場合がありますので、ご了承ください。
▶︎オンライン参加をご希望の方はこちらからお申し込みください。オンラインも定員(300名)がありますので、早めの登録をお願いいたします。
Produced by:ノーモア原発公害市民連絡会 事務局
問合先:ノーモア原発公害市民連絡会 事務局
メール:nmnd.shiminren☆gmail.com(☆マークを@に変えてください)